モジュール生産方式の構築 その1| はじめに

モジュール生産方式の構築やマス・カスタマイゼーションの考え方について、専門的且つ分かりやすい解説を提供するコラム。全16回でお届けします。

はじめに

(1) 新興国の発展とともに

21世紀に大きな経済成長が見込まれるBRICsは人口大国でもあり、新興国としてグローバル市場を形成する、一方で低成長の先進国はニッチ市場になりつつある。

世界の経済地図が塗り替わる中、アメリカ市場で始まった1,000ドルパソコンに象徴される低価格市場のトレンドは情報家電製品に波及。新興国市場拡大に伴い図表1に示す高付加価値化、低価格化、カスタム化の同時達成に応える「マス・カスタマイゼーション」が一気に加速した。

それは「モジュラー化」によって、必要な部品やユニットの中間財を大量生産して低価格化を実現。低価格でありながら付加価値の高い中核部品を組み合わせて、注文から納品までのリードタイムを圧倒的に短縮し、顧客のニーズを満足させたのである。

「マス」は量を追うことで付加価値の高い製品の生産コストを下げ、「カスタマイゼーション」は個々の顧客に満足度の高い商品を提供する、大量生産と受注生産を両立させる概念で、究極のモノづくりと言われる。

図表1

(2) 技術でも事業でも勝つ

マス・カスタマイゼーションは、急拡大する新興国市場の消費者にとっては、コモディティ化の恩恵をもたらす。
コモディティ化とはメーカーや販社ごとの機能・品質などの違いが不明瞭になり均質化することで、どこのメーカーの製品を購入しても大差がなく、結果として製品の価格が下がる現象である。ところが、日本の情報家電メーカーはコモディティ化の影響で業績悪化を強いられている。

コモディティ化を回避して、日本のメーカーが、付加価値を創出するには、独自性と顧客価値を創造する継続的な商品開発が必要である。

しかし、日本発の優れた商品開発があっても、大量普及期になると、日本企業の世界シェアは急速に低下している現実がある。その背景には、擦り合わせ型製品がモジュラー型に転換したことを受け、欧米と新興国企業が国際分業したことが挙げられる。

「モジュール化」の考え方は、情報家電製品にとどまらず、今後は擦り合わせ型の代表である自動車をはじめとして、あらゆる製品への波及が見込まれる。

(3) モノつくりイノベーション

1997年、C・クリステンセンのベストセラー『イノベーションのジレンマ- 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』の著作を機に「オープン・イノベーション」「リバース・イノベーション」「フルーガル・イノベ―ション」など、従来のイノベーションの概念にもイノベーションが起こった。

日本の製造業は、モノつくりイノベーションの流れを真摯に受け止め、得手とする擦り合わせ型から標準化・モジュラー化に積極的にかかわり、究極のモノつくりであるマス・カスタマイゼーションを目指すことである。
マス・カスタマイゼ―ションの構築には、全社的に統一したコンセプトの基に、マーケティングから開発設計、技術管理、生産技術、製造、生産管理のそれぞれの部門が組織力で取り組む課題がある。

この中で本コラムでは、主に生産技術、製造部門の課題を記述していく。

<執筆者>
MEマネジメントサービス 橋本 賢一


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