モジュール生産方式の構築 その3|モジュラー化の進展から

モジュール生産方式の構築やマス・カスタマイゼーションの考え方について、専門的且つ分かりやすい解説を提供するコラム。全16回でお届けします。

1.類似性:類似を集め変化は後
1-2 モジュラー化の進展から

(1) 設計モジュール化と生産モジュール化

マス・カスタマイゼ―ションのベースに、デジタル技術による「モジュラー化」の進行がある。モジュラー化とは、1つの複雑なシステムまたはプロセスを一定の連結ルールに基づいて独立に設計できる部品・ユニットに分解することで、標準的なモジュールの組合せによって、選択のバリエーションをつくり出す。

マス・カスタマイゼーションは製品・部品の標準化から始め、設計から生産のモジュール化へと展開する。

設計のモジュール化は、製品設計能力の革新のために設計のやり方をモジュラー設計することで、製品の多様化と部品の小数化、すなわち、少ない部品種類で多様な製品を生み出す能力を身に着けることである。

生産のモジュール化は、生産工程を見直し、最終組み立て工程数を減らすとともにトータルの工程数も短縮するなどして、生産プロセスを改善することである。

生産のモジュールを構成する部品の種類数が多いと、製品のモジュールは激増する。

たとえば、最終組立ラインで扱う製品の部品種類数が1+2+3+2+3+7+2+5=25で済んでいるのに、製品数で在庫すると1×2×3×2×3×7×2×5=2520と実に100倍の種類数になる。

設計のモジュール化は部品の種類数を削減することが目的であるが、設計モジュール化のみにとらわれて、生産のモジュール化の方で部品の種類が増え、相反する結果にならないように注意しなければならない。

図表4

図表5

(2) モジュール数を計画的に適用

通常、モジュール数は個別の製品設計のときに適用されるが、モジュール数適用の効果を上げるには、将来の製品を品揃えする計画的な設計が望ましい。

製品の基本性能、それを実現するユニット、それをつくり出すコア部品と製造設備にモジュール数を適用し、生産の効率化を図る。

製品、ユニット、部品、製造設備の諸元表の、最小、最大、ピッチ(公比・公差)にモジュール数値表を適用する。モジュール数値表は製品、ユニット、部品、製造設備間の垂直的インターフェイスと部品間や設備間の水平的インターフェイスの整合性が取れている必要がある。

図表4はモジュラー・デザインのステップの展開帳票である。ここでは、部品レベルの固定・変動分析を重点に説明しよう。

固定・変動分析が、この後記述する生産モジュールに導入する設備能力を左右することになるからである。

(3) 製品の固定変動分析

図表4に示す製品機種1,2,3は、それぞれ55,30,12種類の部品から、部品名1,2,3のサブユニット合計では23,19,11の部品数から構成されている。

そして、部品名1には11,12,13の3種類の類似部品があり、部品名11は機種1と機種2に員数10個の部品が、機種3の0は部品がないことを示している。変動形態列を見ると部品11,12,13はL寸法の違いであることが分かる。

モジュラー・デザインは、対象製品と各ユニット・部品との関連を調べて、固定と変動部分に分解し、変動原因を解析しながら、標準化の方向性を検討する。

変動原因が設計者の思想や組織上の機種別担当による場合には、ユニット・部品数、種類の比較を行い、最適なものに共通化・統一化する。

変動原因が材料・ユニット・部品による場合には、変化を少なくする検討を行う。

図表5は変動形態を4つに分けたものである。

  • 4次元変化は機構・構造が違うため、部品の共通化は生まれない。
  • 3次元変化は機構・構造は同じであるが、要求能力の変化を縦・横・高さの相似形で逃げ、
  • 2次元変化は、高さは一緒で要求能力の変化を縦・横寸法で逃げ、
  • 1次元変化は、高さと横は一緒で要求能力の変化を縦寸法で逃げたものである。

生産モジュール化にとっては、変化度を少なくすることが重要である。4次元⇒3次元⇒2次元⇒1次元のように変化度を少なくし、変化度0になれば固定の共通部品になる。

たとえば、ビールの350mlと500mlのロング缶では直径は同じで高さが変化する1次元変化である。このため製造ラインで350ml⇔500mlの品種替えがあっても設備の充填位置を上下に移動するだけで段取りを終えることができる。

以上、設計モジュール化のコンセプトは「変化は1方向で逃げる」である。

<執筆者>
MEマネジメントサービス 橋本 賢一


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