モジュール生産方式の構築 その12|擦り合わせ型の標準化から自動化へ

モジュール生産方式の構築やマス・カスタマイゼーションの考え方について、専門的且つ分かりやすい解説を提供するコラム。全16回でお届けします。

4.製造の標準化から自動化へ
4-2 擦り合わせ型の標準化から自動化へ

(1) モノつくりの標準化

時代は「人で伝えるモノつくり」から「データで伝えるモノつくり」そして、Webに乗るデータベース化へと向っている。

データベースは現状の作業や擦り合わせ技能そのままでなく「ムダのないシンプルなシステム」に標準化して、Webモノつくりの基礎としなければならない。

図表23の「残り手扱数分析」は材料、部品、治工具などに対する現状作業の手扱い数を数値で表し、部品の位置や姿勢など最も作業しやすい理想作業を目指す手法である。

図表23

「残り手扱数」を残したまま自動化を行うと、機械や周辺機器に余分な機能を要求する。

つまり、工程を流れる部品の状況(残り手扱い)が変化することが自動化の阻害要因になり、自動化設備の構成システム側にコントロールの負担や余分な投資を招く。

ロボットの動作でも軸変化が多いと投資金額が高くなるため、自動化の前に軸変化を少なくすることが必要である。

そこで「いくつコントロールする手扱い数が残っているか」を分析して、限りなく残り手扱い数=0に近づけることである。

(2) 工具固定化と容器の共通化

設計モジュール化は、生産モジュール化を促進するが、工具や容器の共通化もこれと同等の効果がある。

製品設計上、穴の径などにバラツキがあると加工時点で多種類の穴明け工具が必要となる。

そこで、加工サイズを統一することで、工具交換などの手扱い時間が大幅に減る。

また、部品・製品の種類により使用している容器が異なると、機械やロボットがそれぞれの容器に対応するため複雑な機能を要求する。

せめて、セット、リセット、ハンドリングを行う際の基本動作が統一できるようにしたいものである。

自動機は部品を正確な位置にセットすることで初めて加工可能になる。

また、加工完了後は正確な位置から一定方向に出てくるが、正確に搬出される部品の方向や形を崩さず、そのまま次工程に引き継ぐことである。

これを乱雑な状態で容器に受けると、次工程ではパーツフィーダを使って再び部品を並べ直すムダが生じる。

パーツフィーダ方式はコストもかかり、チョコ停によるムダも多い供給方式である。

パレット方式はコストがかかるが、段ボール容器で繰り返し使用することでも解決できる。

カセットやタイバーによる供給方式を使って設備と設備をつなぐと、前工程設備から取り出された状態をそのまま次工程設備に引き継ぐことができる。
特定部品にしか使えないが、使える部品には適用したい。

自動機への部品の供給には図表24に示す4種類の供給方式があり、コストの安い方式を採用されたい。

図表24

(3) 技能伝承も標準化で対応

「技能」は技芸を行う腕前であり、他から見えにくく、移転、伝承に時間がかかる。それは個人の優秀さ、知識やスキルに依存する。

「技術」は物事を巧みに行う技であり、他から見えるもの、移転、伝承、売買可能なものである。
それは、科学を実地に応用して自然の事物を改変・加工して人間生活に利用する技である。

日本が得手とする「擦り合わせ」は技術ではなく技能であり、技能を持つ人が会社から居なくなると、会社には技術が残らない。

技能は人の体の中にあり、それが体から離れると技術になる。そこで、技能伝承を行うには、まず、人の体の中にある技能を、体から離すことである。それが標準化である。

図表25

図表25は技能伝承から自動化までの手順を示したものである。
現場作業の標準化は、ビデオ教材などのように目で見える教材が作れるが、判断がいる業務になると難しい。

最も難しいとされる技能、暗黙知の判断業務を標準化し、作業に変えていく方法は、それを知るベテラン技術者にインタビューして、どのような判断をしているかを聞きだすことから始める。

そして、判断を伴う工程と伴わない工程に区分する。判断を伴う工程には、未定の事項(設計値など)を思考する工程と、Yes Noを決める工程がある。既知のパラメータを使って設定できる思考は、判断には当らない。

これは、与えられた情報をもとに、手順にしたがって行えば、誰でもできる作業である。

このように「判断」を定義して、工程を分析すると、通常80%以上は判断不要な工程であることが分かる。

次に、判断工程を作業手順に細分化し、次の3つのやり方で判断数を削減する。

判断を不要にする。判断工程を作業にする。

判断を選択肢化する。判断数を3~7個に抑え、判断のレベルを下げる。

干渉工程をなくす。何らかの結果を待たないと判断ができないような制約を外す。

標準化された技術のなかで、体で覚えるものは視覚に訴える教材とし、頭で考えるものはシステム化する。

<執筆者>
MEマネジメントサービス 橋本 賢一


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