梶文彦の「ニッポンものづくり紀行」 その18|桐生/足利に見るものづくり遺産の残し方(3)<織物参考館“紫(ゆかり)”(旧森秀織物)>

これからの日本のものづくりを見据えるために、過去の出来事やその成り立ちに関する情報を提供するコラム。発想を変えたい時やちょっとした仕事の合間にご覧ください。

桐生/足利に見るものづくり遺産の残し方(3)<織物参考館“紫(ゆかり)”(旧森秀織物)>

工場の残し方の一つのタイプである、工場に併設した記念資料館の例です。

本町通りを下って4丁目交差点を東に曲がり、中通りを過ぎると、右手に森秀織物株式会社が運営する「織物参考館”紫”」があります。同社の敷地内の一部を利用して、1981年に織物の歴史を学ぶ施設としてつくったもので、明治から昭和にかけて使用された織機や道具等の貴重な資料約1,200点が展示されています。

とくに明治15年頃に米国輸出用の羽二重を織った巨大な高機(幅3.3m奥行き6m)などが、展示されており、織物の歴史を知る上で貴重です。

製糸から製布までの工程が一貫して展示されているほかに、機織、染色、手染めなどの体験もできるようになっていますので、織機も体験してみるといいでしょう。ちょうど、近くの高校生たちが取材に来て、織機を体験していました。

展示館の他にも、敷地内にいくつかの工場がありますが、木造鉄板葺きの3連のノコギリ屋根工場では、高級織物であるお召しの技術を活かして、文楽人形の衣装や歌舞伎の装束などを手掛けており、ジャガード織機での織物カレンダー作りなどもみられます。それらもぜひ見ておきたいものです。ただ、現役で稼働中なので、ここは手出しは厳禁、見るだけです。

建物は、ほとんどが大正末期に建てられたもので、工場、旧撚糸場、旧土蔵、旧整経場、旧現場事務所(経糸整経場)が国の登録文化財に指定されています。ノコギリ屋根の展示場は、大きな天窓から十分な光が差し込んでいます。天井には動力を伝えるシャフトが走り、時代ごとの織り機がみられます。

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梶文彦氏執筆による、コラム「ニッポンものづくり紀行」です。
梶氏は、長い期間にわたりものづくり企業の国内外でのコンサルティングに携わり、日本製造業を応援しています!
地球の歩き方「Look Back Japan –ものづくり強国日本の原点を見に行く」連載中

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