「ものづくりIoT現場革新セミナー」解説 実用化手順~その3

9/9に開催される「ものづくりIoT現場革新セミナー」。講師の株式会社ロンドアプリウエアサービスの中崎氏からセミナーへ向けた専門的且つ分かりやすい解説を提供するコラム。

実用化手順 その3

ステップ-5:予測効果の把握

モデルと横展開に関しての予測効果を5つの観点から把握します。

※クリックすると画像が拡大します。

1.ロスの観点

IoTは現場直結型のしくみです。そういった意味で、現場に潜むロスを改善することで効果が出します。IoTで解決できるロスは37あります。37大ロスをコストに換算することにより、投資効果を算出します。課題(方針)としては、コストダウンの場合に有効です。機能としては、作業支援、業務支援、改善支援などが挙げられます。

2.顧客の観点

IoTによりSCMの2つの欠陥をなくすことができます。それにより、実需生産ができ、顧客満足度が上がり、売上が上がるという連鎖が起きます。

3.安全の観点

従来の安全管理は、下記の3つの観点から改善していきます。

  1. 被災害者の早期発見により被害の度合いを最小限にとどめる。
  2. 災害を防止し、作業者の安全に対する感性を上げる。
  3. 災害のポテンシャルを下げる。

機能としては、所在管理、セイフティエリア管理、体調管理などが挙げられます。安全の観点からとらえると、IoTにより安全面が改善されるだけではなく。現場の監督者の安全に対する目が行き届き、かつ負担が軽減されることがわかります。

4.システムの観点

従来のシステムの不便さを改善するという観点からも予想効果をとらえることができます。

  1. システムへの入力の手間(ロス)、入力ミスが削減される。
  2. システムへの入力頻度が上がり、精度が上がり、現場のPDCAサイクルがスピーディーに回る。

それにより、内示取消し、飛び込み、計画ミス等の計画変更にスピーディーに答えられる様になり計画通りでロス最小の生産が実現できるようになります。また設備トラブル、ドカ不良、欠品、欠員等のトラブル対応が正確かつ早くなり、管理・監督者業務の精度とスピードの向上し負担軽減が図られます。
システムの観点からとらえると安全管理同様IoTにより、管理・監督者の業務の質が向上しかつ負担が軽減されることがわかります。

5.改善の観点

改善をやっていてたいへんだと思うこと。それが、改善前のデータ収集と分析です。これは改善を進める上で非常に重要な作業なのですが、たいへんなのは事実です。IoTはその作業を簡略化し、しかもスピーディーに正確にします。これにより改善のスピードが上がり、早期に効果を出すことができるようになります。

改善後にもうすこしどうにかならないかと思うことが、改善後の効果測定です。IoTはこれもスピーディーに正確にやってくれます。これにより、改善効果のフィードバックがスピーディーに図られ、次の打ち手が早くなります。改善後に効果が出るとそれを維持するために基準・標準が作られます。これを維持・管理するのが大変です。IoTでは、改善後の基準・標準の教育・訓練、遵守を支援します。

ステップ-6:システムの決定

モデルに関するシステムを決定します。システムの決定は、ハードウェア構成、ソフトウェア構成、開発方式の3つで構成されます。

1.ハードウェア構成

下図のようになります。

2.ソフトウェア構成

下図のようになります。
赤線より下、設備管理システム、作業支援システム、作業者管理システム、ICタグ管理システムが現場で開発することになります。赤線より上はシステム部門か外部開発となります。

IoTプラットフォームとビッグデータを社内システムにするかクラウドを利用するかは、

  1. セキュリティ
  2. データの量(量と増え方)
  3. コスト(初期投資+運用)

の3つの観点から決めます。基本的には、IoT導入当初は社内システム(オンプレといいます)で進め、規模が大きくなってきたらクラウドを利用するという形がリーズナブルだと思います。

3.開発方式

従来のシステム開発は、全体システムのすべての要件を決め、基本設計、詳細設計、プログラミング、実装、テストの各工程を厳格に計画し、開発を進めるウォーターフォール開発という方式でした。この方式は大規模なシステム向けであり、数か月から数年の開発期間を要し、途中の機能追加・変更はほぼ不可能というちょっと硬直的な方式でした。

IoTにおける開発は、小さな単位(モデル)で開発し、試し、ダメなら直す。その繰り返しで最終的に全体システムを構築するアジャイル開発という方式を用います。アジャイル開発により、日本のお家芸の改善的なアプローチでシステム開発が進めることが可能になります。

ステップ-7:要件定義書の作成

ここまでのプロセスをまとめて、モデル機能に関する要件定義書を作成します。
要件定義書は、全部で11の項目があります。作業ナビをモデルとしたケースで説明します。

  1. システム概要:要求するシステムの概要を示す。システムを導入する目的、対象作業、作業概要、対象物名・数量・形状、利用頻度、リリース希望時期など
  2. 現状の作業フロー
  3. 現状の問題点と予想効果
  4. 導入後の作業フロー
  5. 機能一覧;必要とする機能の一覧。たとえば、①ビデオを表示する、②遠隔地で見られる、等
  6. 機能情報関連図:人、モノ、情報の関連を示す図。
  7. 作業ビデオ、写真:対象作業の実際の映像や対象物の写真など
  8. システム構成:(ハードウェア構成)使用する機器/端末・パソコン台数、ネットワーク環境(ソフトウェア構成)OS、開発言語
  9. 運用要件:セキュリティ制約、運用制約、想定するデータ量、要求対応時間、エラー処置など
  10. 用語の定義:ユーザー側、開発側双方で使用している言葉を定義する

以上10項目が満たされた要件定義書ができたら、開発スタートです。

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