モジュール生産方式の構築 その2| 柔軟性の確保と対応策

モジュール生産方式の構築やマス・カスタマイゼーションの考え方について、専門的且つ分かりやすい解説を提供するコラム。全16回でお届けします。

1.類似性:類似を集め変化は後

1-1 柔軟性の確保と対応策

(1) 個別注文を7分で提供

レストランでは、1人ひとり違う注文を7分で配膳する。レストランはサービス業であるが、個別受注した製品を厨房で生産し、驚異的なスピードで顧客に提供する。「なぜそんなに速くできるのか」を紐解くとマス・カスタマイゼーションにたどり着く。

モジュール生産方式挿絵 (1).001
図表2

第1は「標準化・モジュール化」
配膳を早めるには、食材を事前に標準化して準備しておき、注文を受けてから行う作業を極力少なくする。標準化はご飯や野菜など部品レベルから冷凍食品などのユニットレベルまで引き上げ、電子レンジなどの汎用設備と相まってモジュール生産を可能にした。

作業には受注してから行うオンライン作業と何時やってもよいオフライン作業がある。オンラインで行っている作業をオフライン化(外段取り化)すると受注してから行う作業が少なくなり、リードタイムが短くなる。
マス・カスタマイゼ―ションにとって「標準化・モジュール化」は打ち出の小槌である。

第2は「同期生産・同時並行処理」
30分で届くピザ屋は、電話注文を受けると同時に、注文内容をスピーカーで担当に知らせる。その情報から厨房ではピザをつくり始め、レジでは請求書をつくり、配送では地図を見始める。

従来、1つの作業が終わるたびに、次の人に引き継いでいた時間に比べて、圧倒的にリードタイムが短くなる。
1つの注文が終わってから次を手がけるのではなく、同時並行処理するコンカレント・エンジニアリングは、手待ち時間を作らない同期生産であり、同期化はリードタイムが圧倒的に短縮される。

第3は「マスプロダクション・ロットまとめ」
厨房では、カレーの次にハンバーグ、また1つ置いてカレーの伝票があると、調理人はカレーをまとめて作っていた。カレーを作った後に1つ置いてまたカレーでは、段取りに手間がかかるからだが、この判断は正しいだろうか。

配膳されるまでの顧客の待ち時間は平均7分であるが、ネックになる調理時間の短縮が顧客回転率の向上になる。混雑するランチタイムには厨房の生産性向上はとくに重要で、調理人のロットまとめの判断は正しかった。
規模の経済性を追求する「マスプロダクション」はやはり効率的である。

「忙しい時間帯でないときは、そんなことをする必要はない」との考えもあるが、暇な時間帯は効率を落としてもよいのではなく、新メニューを考えるなど時間の制約を受けない仕事に当てたいものだ。

一方、顧客の立場からすれば、オーダー順に配膳してほしい。それは配膳人の役割で、完成品をオーダー順に並び替えて配膳すればよい。同じ席からの注文にはまとめて同時に配膳したり、ドリンクなどは食前か食後のタイミングを聞いて配膳すれば、顧客サービスはさらに向上する。これが顧客満足を追求する「カスタマイゼーション」である。

これらの教訓は、貴工場でも生かせないであろうか。

(2) 顧客満足を優先して柔軟に対応

規模の経済性の追求はメーカーの論理。時代は顧客満足を経て、経験経済の追求へと高度化している。そこには1人ひとりの顧客に合わせる柔軟性が求められるが、生産はそれほど柔軟にはできない。

図表3は変化に対する、材料、人、設備の生産要素別の対応策である。横軸には柔軟性の種類を示している。

中で最も固定性の強い設備は、どうしても他の生産要素に比べて、柔軟性では見劣りする。その対応には、専用機からNC・ロボットなどの汎用機やMCなどの多機能機の活用がある。それ自体が1つの設備と考えられるラインやセルは、特定の製品に設備が専有化されて、どうしてもフレキシビリティに弱くなるため、品種別のラインやセルを作って柔軟に顧客対応しようとすれば過大設備になる。

人に対しては、非正社員(派遣・パート・アルバイト)を増やすことで対応してきた。それは数量変化への柔軟性には役立っても、製品・部品変化、製品・部品多様化などには標準化や多能工化、教育訓練の必要性を生む。

材料への対応は標準化であり、それは既存設計を使うことによる品質の安定と開発スピードアップにも貢献する。さらに、標準化は部品変化が少なく、1部品の生産量がまとまるので、モノつくりの場面では自動化がやりやすい。

モジュール生産方式挿絵 (1).002
図表3

マス・カスタマイゼ―ションは、標準化された部品やユニットの中間財を見込生産して在庫を持ち、後工程のみを受注対応して、多様化と納期短縮が両立できる。部品やユニット在庫は標準化されているので、デッドストックや欠品につながり難いのである。

<執筆者>
MEマネジメントサービス 橋本 賢一

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