モジュール生産方式の構築 その5|迅速性の確保と同期化の推進

モジュール生産方式の構築やマス・カスタマイゼーションの考え方について、専門的且つ分かりやすい解説を提供するコラム。全16回でお届けします。

2.迅速性:生産方式の質量を選択

2-1 迅速性の確保と同期化の推進

(1) 同期の種類とレベル

生産期間(リードタイム)の短縮には改善(ハード)と管理(ソフト)の両面からの検討が必要であるが、ここではハード改善を中心に記述することにしたい。

通常、生産期間は加工、検査、運搬、停滞の中で停滞が大部分を占めており、同期化することによって生産期間が短縮されるのは停滞時間が圧倒的になくなるからである。

モジュール生産方式挿絵 (2).001
図表10

同期化とは「必要な物を、必要な量、必要な時に、必要な順に供給」している状態を言う。

図表10に示すように、同期化にも製品1個のタクト同期から、ロット、時間、シフト、日同期へ、そして、工程間、ライン間、内外間同期へとそのレベルがある。

必ずしもタクトの工程間同期が極致ではないが、そこに向かって同期化のレベルが上がる。同期する部品や製品の単位は、製品サイズにより1個またはロットの時もある。

製品サイズが大きくなると多くの仕掛を持てないので、1個1個連続したタクト同期を、製品サイズが小さくなるとロット同期を採用することが多い。

同期化ラインは初工程に投入する材料さえ管理すれば、一貫ラインで製品ができるので、生産管理がやりやすい。

とくに、流れ作業によるライン生産のタクト同期が、最も仕掛が少なく、リードタイムも短い生産方式である。

一方、同期化をすると各工程のサイクルタイムが合わないため、工程間にバランスロスが発生する。

また、余り多くの同期化ラインを作ると、ラインに設備が専有化されて過大設備になり、ライン稼働率の低下を招く。

(2) 3つの生産方式を量で選択

同期生産品種の選択には品種数と生産量によるPQ(Product & Quantity)分析を用いる。

図表11のPQ分析では縦軸に生産量を、横軸に品種をとって生産量の多い順に並べ、A、B、Cの3グループに分ける。

通常、上位品目点数の20%で生産量の80%、50%で生産量の95%を占める。

多量のAグループはライン、中量のBグループはセル、少量のCグループは機能別生産方式に向いている。

機能別生産方式はプレス、機械加工、溶接、組立などの機能職場に加工する部品や製品を運搬して、ロット単位で生産する方式である。

ライン生産方式は、部品や製品の製造工程に添って、人と設備を配置して、同期生産をする方式である。

セル生産方式は、両者の中間の形態で、機能別生産のように工程ごとに独立ではなく、多くの場合、数工程が同期する短いラインまたはグループ作業形式の生産形態をとる。

モジュール生産方式挿絵 (2).002
図表11

(3) 「ライン」か「セル」かの選択

ライン生産は量産向きの生産方式であり、各工程のサイクルタイム(1個作る時間)を均一にするライン編成をするが、どんなに上手に編成をしても、5~10%のバランスロスは避けられない。

1つのラインに流れる品種数が少ない時はまだしも、混流生産で流す品種が多くなるとバランスロスの増大は避けられず、生産性の低下を招く。

ここに、顧客満足に応えながら、生産性も追求するやり方として「セル生産方式」が誕生した背景がある。

ラインをセルに切り替えて生産性が高まることで注目されたほとんどの例は、バランスロスの低減によるものであった。

「セル生産」を生み出したもう1つの背景には、製品の短命化があった。

材料、人、設備の生産要素の中で、最も固定性の強いハード寄りのライン生産では、品種が変わると、対応に時間がかかった。設備より人の柔軟性の方が優れていたのである。

(4) コストの安い生産方式を選択

製品特性を考慮して、品種数、生産量、工程数を基準にして3種類の生産方式を選択した後「何本のライン・セルを作るか」はコスト的検討になる。

ライン・セルの数を増やすと、多くの設備台数が必要になるが、1本のライン・セルの工程数は集約できるため、運搬にかけるコストは安くなる。

一方、類似製品または部品を集めて、ライン・セルの数を減らすると、設備台数は減るが1本のライン・セルの生産量が多くなるので、工程数が増えて運搬にかかるコストが高くなり、混流生産によるバランスロスが発生しやすい。

このように、ライン・セルの数と生産性はトレードオフの関係にあり、設備投資などのイニシャルコストと生産時に発生するランニングコストがバランスする最適コストを求める。

こうして、機能別、セル、ライン生産方式の選択とその数が決まる。一般には、部品加工は設備費が高いので設備稼働率を優先した機能別生産が、組立はその逆にライン別生産を採用することが多い。

マス・カスタム生産では「ライン」であれ「セル」であれ、同期化を推進する。そこで両者の違いは生産量と工程数の違いだけになる。

生産量の目安は製品サイズによって異なるが、ライン生産では1個3分以下、セル生産では、1個15分(1日8時間の日産量は32個以上)程度である。

工程数は作業の複雑性と生産量によって決まるが、ライン生産では10工程以上、セル生産では少なくとも1桁(10工程未満)である。

(5) 生産形態のまとめ

これまで、機能別、セル、ライン生産の3タイプで説明してきたが、これは労働集約型の生産形態の分け方である。

しかし、日本は自動化王国であり、今後も自動化設備が安くなると、設備集約型の生産形態になっていく。

設備集約型になると、機能別生産→装置監視型生産、セル生産→FMS(Frexible manufacturing system)、ライン生産→連続プロセス生産へ移管していく。

人より設備の方がコスト的に安くなれば、人が設備に置き換わるだけである。以上の生産形態を整理すると図表12のようになる。

モジュール生産方式挿絵 (2).003
図表12

<執筆者>
MEマネジメントサービス 橋本 賢一

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