工作機械関連技術者会議 企画副委員長 インタビュー3

2021工作機械関連技術者会議 企画副委員長の東京電機大学 工学部 機械工学科 教授の松村 隆 様に工作機械業界の動向、今回の本会議の聴き所をお伺いしました。日本能率協会の勝田・高士がインタビューいたします(以下 敬称略、役職当時)

東京電機大学 松村教授 インタビューその3/世界における日本の工作機械業界の競争優位性は? 

(高士)
日本の工作機械業界のグローバルでの競争優位性についてどのようにお考えでしょうか?

(松村)
グローバルでの日本の工作機械技術の優位性は高いと思います。確かに今、中国など新興国の技術進歩は速くなっていますが、日本やドイツは、これまでの蓄積や国民性・文化の点で競争力があるでしょう。日本人とドイツ人の国民性には、手を抜かない、利益だけを追求しないことが、ものづくりに適しているのでしょう。日本にとってのライバルは、やはりドイツですね。

(高士)
そんな日本とドイツのものづくりの違いは何でしょうか?

(松村)
ドイツのものづくりは、ある技術を確立すると、それを物理や数学の背景のもとで徹底的に調べてモデル化しています。すなわち、できたものから原理原則を見出し、それを別のものに応用できないかという発想をするのです。我々もドイツに学ばなければなりません。

一方、日本は、ある技術をなし得ると、それをより良くするためにはどうするかを考えます。より良く、より安全に、より高い信頼性を追求する。これが日本のものづくりの特徴です。

(高士)
市場での競争優位性を獲得するにはどちらも大切ですね。

(松村)
市場戦略としては両方とも成功するものと思います。ドイツのものづくりは技術をブレイクダウンし、それを活用して様々な分野に水平展開をしていくようです。日本の場合は、できたものをより良くすることで他国に対する競争力を強めています。日本の製品は壊れない、信頼できる、良いものだと言われるのは自明の理です。我々はそこにかなりの力を注いでいるのです。考える方向は違いますが、両者とも市場を広げるために良い戦略です。

(高士)
では、新興国との違いはどのあたりにあるとお考えですか?

(松村)
例えば中国の製造技術は、近年目覚ましく進歩しています。しかし、私が以前、上海のメーカーにヒヤリングをしたときに、ものづくりに対する執着心よりは利益を重視する印象がありました。

すなわち最高のマシンは自国で製造するのではなく、日本やドイツから買ってきてボタン1個を押して利益が得られればいいという考え方です。価値観の違いですね。中国が日本の技術を使いこなし、これで儲けているということかもしれません。ですから、多くの機械を投入し圧倒的な量で勝負するのです。

(高士)
こうした中で日本は市場競争に勝っていかなくてはならないのですね。

(松村)
製造業にとって今の市場競争は、もちろん重要ではありますが、もっと大切なことは、市場における経済的な効果を考えながら、20、30年後はどうなるかを見据えて、その準備をすることが大切です。

すなわち変化を予測しながら、柔軟に対応できる基礎体力が必要でしょう。ものづくりの本質をしっかりと押さえている日本やドイツは良い製品を市場に投入できるものの、それが市場競争で勝てるかどうかはわかりません。ある程度のバックデータとこれに基づく技術の厚みが必要でしょう。

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