工作機械関連技術者会議 企画委員長 インタビューその3

2021工作機械関連技術者会議 企画委員長の慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 教授の青山 英樹様に工作機械業界の動向、今回の本会議の聴き所をお伺いしました。日本能率協会の勝田・高士がインタビューいたします(以下 敬称略、役職当時)

慶應義塾大学 青山教授 インタビューその3 /日本の工作機械メーカーが世界を席巻するには? 

(高士)
日本が世界に誇れる産業として工作機械業界がこれからも発展するために、競争優位性、将来展望といった視点から日本の工作機械メーカーはどうすれば世界を席巻するでしょうか。

(青山)
高い品質の加工を行う観点でいえば、日本の工作機械は世界でもダントツで優位性を保っています。しかし将来もこの評価を維持できるか。これが課題です。

(高士)
それはドイツと比較してもかなり高い優位性を保っているのでしょうか?

(青山)
そうですね。ドイツはモジュール化を進め、国外で設計と製造を行い、国内で組み立てを行う方式の製造がみられると聞いています。自分の現場で、自分が実際に工作機械の設計、製造を行わなくなると技術は下がっていくのではないでしょうか。

工作機械製造では「すり合わせ」が大切だと言われています。モジュール化が進む世界ではこの「すりあわせ力」が落ちます。日本は「すりあわせ力」で勝ってきていると思います。

(高士)
しかし、将来的にも優位性を保っていけるのかということですね。

(青山)
技能者の試行錯誤によるものづくりのやり方は今後も継続する必要があるでしょう。
そして「それはなぜできたのだろう」という分析をして良いものを作る。これが日本が今までやってきたやり方です。いかにデジタル時代になっても、これは絶対になくしてはいけないと思います。しかし、これだけでは開発スピードに勝てなくなると思います。

(高士)
開発スピードを上げるためには何が必要でしょうか?

(青山)
設計・製造をデジタル化し、開発のスピードを担保する必要があります。新興国はスピード感を持ちつつ、ある程度の性能を確保し、安価な工作機械を提供してきています。ですので、ある程度の性能の領域において、勝負していくことが難しくなってくると思います。

現在、日本の工作機械メーカーのブランド力は高く、新興国に勝っています。しかし10年後はどうでしょうか。お客様全員が高性能な機械を求めているわけではない。性能はほどほどで良いので、安さと多様なニーズにマッチした商品を求めるお客様も多くいるのです。そこに日本がどう食い込むか、これが次の課題です。

(勝田)
パンデミックにより、ものをつくる場所や人を変える必要性が出てきたこともひとつの要因でしょうか?

(青山)
これからは、お客様において、加工のプロはだんだんと少なくなることが考えられます。このことは、加工のプロではない人でも高度な加工をできる機械が求められることを意味します。そのためには機械の知能化、AIの導入が必須です。10年先というより今始めなければならない課題です。

高士
日本の工作機械メーカーは対応を迫られますね。

(青山)
すでに対応を始めている企業もあります。ロボットで工作機械を作ろうとしているところがあると聞いています。工作機械メーカーの発想の転換は早く、デジタル化に向かっています。

すり合わせで良いものを作り上げていく部分は残しつつ、スピード感を持ったものづくりも始まっています。こうすることで競争が激しくなる中でも日本の工作機械メーカーは世界で勝ち残っていけるのではないでしょうか。

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