モジュール生産方式の構築 その6|何本のラインを敷いたらよいか

モジュール生産方式の構築やマス・カスタマイゼーションの考え方について、専門的且つ分かりやすい解説を提供するコラム。全16回でお届けします。

2.迅速性:生産方式の質量を選択
2-2 何本のラインを敷いたらよいか

図表13で「何本のラインを敷いたらよいか」の問に応える例題をやってみよう。

Step1:PQ(Product Quantity)分析

図表13のPQ分析の縦軸にはA~Qまで、17品種が生産量の多い順に並んでいる。
生産量の多い製品から、ラインまたはセル生産方式を採用してみよう。

同期化の要請から、できる限りAグループのライン寄りの生産方式を採用したいので、ここでは製品・部品は単品で行っているが、形状と工程を同じくする類似製品・部品グループとしたPQ分析を行うのが実務的である。
すると、標準化が進むことによって品種数が減って1品種の生産量が多くなる。

Step2:製品・部品選定

生産形態はライン、セル、機能別のいずれがよいかではなく、目的に合った生産形態を組み合わせることである。

図表13では生産量の多い順に並んでいるので、上から順にライン生産方式を採用する。
ここでは、3工程以上ある製品14品種に同期化ラインを適用している。

図表13

Step3:工程分析・時間分析

図表13の横軸にはD1~D8まで、すでに保有している設備が入力されている。
そこで、改善の対象となる製品が通る設備順に番号を付ける。

ちなみに、入力された17品種で同一設備を通る品種は1つもない。

Step4:類似性分析シミュレーション

選択した製品の工程の類似性分析を行い、類似製品を集める。
単一品種ラインでない限り、同一ラインで流す品種は、できる限り類似設備を使う品種にしないと、設備にムダが生じるからである。

生産量の多い品種より同期ラインを設定する。
1号ラインにはD1,2,3,4,6,7の設備を入れればA品種は生産可能である。

さらに、同1号ラインにD5の設備を入れればB品種も生産可能である。

さらに同1号ラインにD8の設備を入れればC品種も生産可能である。すると全ての設備を備えたラインで全品種を流すことになる。

しかし、C品種は後の工程の設備しか使わないので、D5,6,8の設備を入れた2号ラインを新設してみる。
D品種はこれまでとは異なる前の工程の設備しか使わない製品であり、D1,2,4を3号ラインとして再度新設してみる。

以上のように類似工程・設備を用いる品種を集めていくと3本の同期ライン+機能別ラインを設置することになった。

現状設備と新ラインに必要な設備の台数を合わせてみると、現状と必要設備台数が一致した。
しかし、多くの場合不一致が生じるので、タクトと設備台数の関係に注視して次のシミュレーションを行う。

■設備があまる場合
すでに購入した設備はあまらせてもコストが安くなる訳ではないので、類似グループを1つのラインで流すより、ラインを増やす方が得策である。
逆に、あまりラインの数を増やすと、専用ラインに近づくため設備台数不足となる。

■設備が不足する場合
1つのラインで流れる品種数を絞り、機能別生産へ持っていく。
または、設備導入の可否を検討する。

Step5:生産能力のチェック

1つのラインに多くの品種を流すと製品1個を作るサイクルタイムが短くなり、1工程に複数台の設備を入れなければ設備能力が足りないという現象が出る。
そこで負荷と能力のタクト差額が生じないようライン数を調整する。

ちなみに図の例では、1ラインで1分を切るサイクルタイム(生産量)にならないよう品種をセーブしている。
1カ月の時間は22日×8時間×60分×90%=9,504分であるから、1分を切らないサイクルタイムにするには1ラインで9,504個以下の生産量になる品種に絞り込まなければならない。

ちなみに、図表左下のサイクルタイム欄に各ラインのタクトが計算されている。

■タクト差額がプラスになる場合
設備能力は十分であるが、あまらせるのはよしとしない場合は、当該ラインで流れる品種を増やす。

■タクト差額がマイナスになる場合
1つのラインで使用する設備能力が不足する場合は、設備能力アップの改善か、設備を増やす必要がある。

以上の結果、1号(D1,2,3,4,5,6,7)、2号(D5,6,7,8)、3号(D1,2,3,4)の3本の同期化ラインと機能別生産としてD2,D4の2台を設置することになった。

<執筆者>
MEマネジメントサービス 橋本 賢一


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