モジュール生産方式の構築 その13|ファームウェアからターンキー装置まで

モジュール生産方式の構築やマス・カスタマイゼーションの考え方について、専門的且つ分かりやすい解説を提供するコラム。全16回でお届けします。

4.製造の標準化から自動化へ
4-3 ファームウェアからターンキー装置まで

(1) 標準化は垂直型経営を一変

標準化の後は、頻度の高いものから自動化(ロボット・コンピュータ)の道を歩むことになる。

「擦り合わせ技能」が「擦り合わせ技術」になるとマイコンやファームウェアに組み込んで自動化することができる。

ファームウェア (Firmware) とは、電子機器に組み込まれたコンピュータシステム(ハードウェア)を制御するためのソフトウェアをROMなどのLSIに書き込んだ状態で機器に組み込んだものである。

低コストの機器では、マイクロ・コントローラに内蔵されたROMを使用し、より高機能のものでは独立したメモリ素子に書き込みを行う。

一般的なソフトウェアよりハードウェア寄りのソフトウェアということで、ファーム(firm:堅い、固定した)という呼び方をしている。

ファームウェアの作成には、組み込み用CPUの高速化と、記録媒体である半導体メモリ価格の大幅な下落と大容量化により、C言語などのより高級な言語が使用できるようになった。

そのため、ファームウェアを階層的に大規模構築することで、擦り合わせ型の特徴である部品間の相互依存性までコントロールでき、モジュラー化を可能にしたのである。

(2) ターンキー製造装置に積み込む

さらに、次の段階では、マイコンやファームウェアがシステムとして組み込まれたターンキー製造装置が出現する。

それは「鍵をまわす・ボタン一つ」で生産が可能な「設備一括請負契約」にまでにしてユーザーに引き渡される。

ここまでくると「生産モジュール化」は完璧に仕上がり、擦り合わせ型はモジュラー型製品に転換していく。

考えてみれば、日本は世界一の自動化王国ではなかったか。

ターンキー契約には大別して次の2つがある。

フルターンキー契約(Full turnkey contract)またはEPC契約(Engineering, Procurement, Construction)は建築工事まで含め工場建設に必要なほぼ一切の資機材と役務を売り手が提供するのに対し、セミターンキー契約(Semi-turnkey contract)は建築工事は買い手の範囲の契約である。どちらを選ぶかは、買い手側の工場建設に投与できる技術者・管理者の有無と能力、採算上の判断になる。

ファームウェアは電子機器本体に所望の動作をさせるためのソフトウェアであり、ハードウェアに密接に結びついていて、むやみに書き換えることはない。

さらに改善を積み重ねた独自の製造設備や過去の実験データやノウハウが多く反映された実験機器は技術のブラックボックス化には有利である。

このような企業内部のプロセス関連技術をうまくマネジメントすれば、製品技術以上に長期的に自社の強みとして蓄積することができる。

(3) 部品・材料メーカーにチャンス

モジュラー化の進行により基幹部品・材料に付加価値が集中する状況を考慮すると、部品や材料などのメーカーは、利益の源泉となる擦り合わせ型技術をブラックボックス化して保有したり、開発したりするのに有利な立場にある。

さらに、ブラックボックス化と標準化を駆使したプラットフォーム・ビジネスに展開することもできる。

日本は部品・材料分野において世界のシェアの大部分を握る部品・材料大国である。

これまで、日本の部品・材料メーカーは、最終財メーカーに依存する姿勢が強く、内外の完成品メーカーなどから競争を強いられてきた。 

モノつくりが直面している困難な状況を収益増大のチャンスとして捉え、積極的なビジネスモデルを構築・展開することである。

以上をまとめると、日本の部品・材料メーカーは新興国企業との間で共存共栄を図るため、図表26に示すような先進国と新興国の水平分業の展開を望みたいものである。

図表26

<執筆者>
MEマネジメントサービス 橋本 賢一


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