モジュール生産方式の構築 その14|デジタル・エンジニアリング

モジュール生産方式構築の考え方について、専門的且つ分かりやすい解説を提供するコラム。全16回でお届けします。

5.マス・カスタム生産管理
5-1 デジタル・エンジニアリング

これまで、マス・カスタマイゼーションは生産技術・製造部門のハード面を主体に記述してきたが、最後に生産管理部門のソフト面のアプローチに触れておこう。

両者は車の両輪としてセットで推進されなければならないからである。

(1) 買い手の好みに合わせて設計

衣料品では顧客の好みのデザイン・体型に合わせた服を提供するには、採寸からパターンつくりに専門的な知識を必要とするが、デジタル・エンジニアリングはその工程を自動化する。

デジカメやパソコンを使って入力したデータを3次元人体測定システム、電子採寸システム、自動採寸・裁断システムなどが支援するしくみは、すでに出来上がっている。

マス・カスタマイゼ―ションは、顧客ごとに異なる要求仕様に合わせて、迅速に生産・手配する必要性から図表27に示すような、デジタル・エンジニアリングの活用は欠かせない。

顧客インターフェイスでは、3次元CADシステムは、顧客への商品提案に使われる。

図表27

(2) 試作してデザインレビュー

設計段階では、3次元CADシステムは、バーチャルな操作性、デザインレビュー、機能検証などの活用がある。

デジタルモックアップ(Digital Mock-Up)は、CADを用いて製品の外見、内部構成などを比較、検討するためのシミュレーション・ソフトウェアである。

「モックアップ」はもともと工業製品を設計する段階で製作される実物大の模型のことを言うが、CADおよびCAMの発達により、コンピュータ内のシミュレーションでこれらの作業が行われるようになり、従来のモックアップ制作と比べて大幅なコスト削減を実現している。

3次元CADで作成した製品設計データから光造形装置を使い、ほとんど自動的に短時間で実際の形状を出力する技術をラピッド・プロトタイピング(RP)と呼ぶ。

光造形システムは、造形する製品を薄いスライスの積み重なりとして捕らえて、樹脂などの材料を一層ずつ重ねて造形する。

光硬化性の樹脂を固めて成形するので、試作品の性質は本物とは違うが、瞬時に試作ができる点においては革新的な価値を持つ。

(3) モジュラー構成部品表と工程設計

製品在庫を持たないマス・カスタマイゼーションは、顧客仕様が決まる受注時に、モジュラーBOM(モジュール化のための仮想的部品表)を作成する。

図表28

顧客の要求仕様または図面より製品・部品の形状、大きさ、寸法、精度が明確になると、どのような工程で、どのような設備を使って加工していくかの「工程設計」をデジタル・エンジニアリングが支援する。

工程設計のステップは図表28に示すとおりであるが、マス・カスタマイゼーションでは図右に示す類似工程設計が有効である。

類似工程設計は、多種多様な製品や部品を個々に工程設計するのではなく、部品グループ(代表部品)に対して基準工程を設計しておき、それを修正することにより設計を行う。

検索条件を入力するとデータファイルから類似部品の標準工程を読み込み画面に表示する。そして、標準工程の変更点を追加、削除、修正することで新規部品の工程設計を行う。

類似品検索には、品番、品名、類似品検索コードによる方法がある。

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